熟年離婚という言葉が雑誌やテレビで見かけるようになってから・・
我慢せずに離婚する
のも悪くないかも?
この決断をする女性が増えています。同居期間が35年以上になる夫婦の熟年離婚は、ここ30年ほどで10倍近くに増加しています。そんな中で金融庁が指摘した・・
この話題がメディアを騒がせたこともあって、年金のもらい方を考え直すきっかけとなりました。
女性としてはとても重要となる熟年離婚・老後資金にまつわる・・
望んで熟年離婚した女性の老後資金を予測する
熟年離婚で後悔しない一人暮らし対策とは
年金保険料を払っても「老後2000万円」が必要な時代
これらの疑問について分かりやすく見ていきます。
まだ離婚を決断していないとき
離婚をイメージしている女性は、今の生活資金と老後に貯めておかなければいけない貯金の心配をします。そのため・・
慰謝料をどれだけもらえるか?
これを聞きたい方が多いはずです。しかし、その疑問の答えは・・
旦那が嫌になった原因が・・
私に無関心・無頓着、思いやりがない
生活費を趣味・お酒・賭けごとに使う
だんだんと話すことも無くなった
隣にいると疲れる
こんなことが嫌で離婚を決断したのなら、慰謝料を請求することはできません。
熟年離婚で慰謝料がもらえない理由とは
慰謝料とは、不倫・DVなど「夫婦ではあってはならない」問題が発生したことで・・
相手方の不法行為によって被った精神的苦痛を慰謝する
引用元:謝料請求調停|裁判所
この目的で請求されるお金のことです。
旦那とはずっと会話していない
自分の時間を大事にしたいから
これが理由であるとき、「旦那からお金・財産をゲットして → 離婚」はできないのです。
夫が買ってたものはどうなる?財産分与の範囲とは
離婚で1番にもめる要因が「財産の分け方:財産分与」です。特殊なルール(決まり事)がある地域を除くと、「2分の1」の分与割合となります。
「夫が選んで買ったものなら → 夫の財産である」というルールはありません。つまり、名義が夫になっている建物・車など、あらゆるものが(二人で2分の1に分ける財産に)該当します。
二人のうち どちらが買ったものでも婚姻している期間中に購入しているなら、全てまとめて「2分の1」で分与します。
離婚後の自分の年金額 取り分を増やす方法とは
夫婦でいる期間には、女性はパートタイマーで働きに出ることはできます。
しかし、主婦のパートタイマーの仕事では、夫よりも給与が少ないことが多いため、必然的に年金額を計算すると支払った年金額(厚生年金記録)が少なくなります。そんな不公平な状況を改善するのが・・
この制度は・・
婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して,それぞれ自分の年金とします
引用元:法務省:年金分割
夫婦でいる期間中にお互いの厚生年金の支払額をまとめて、全体の金額から決めた割合で分割できる制度です。
この分割する割合は決まっていないのでお互いに話し合いで決めるのですが、合意にならないときは裁判所が按分割合を決めます。
合意がなくても年金の2分の1を確保できる方法とは
離婚後の年金分割においては、先に挙げた「年金の合意分割制度」で割合を決めますが、話し合いができる状態の離婚ではないときには、「3号分割制度」を利用します。この制度は・・
このようになります。つまり、相手に拒否権がありません。
条件として「婚姻中に平成20年4月1日以後の厚生年金記録があること」、そして「離婚の日から2年以内に請求すること」となっています。
旦那が自営業者なら年金分割できない
先に説明した年金の「合意分割制度」、「3号分割制度」は、厚生年金の部分が分割できます。離婚の時期によって夫が支払った厚生年金の総額が変わるので、年金分割で得られる年金額が増減します。
ここで注意したいのは、厚生年金と言えば会社員が加入できる制度となります。つまり・・
こうなります。
離婚の先延ばし=「3号分割制度」で年金の受取予定額がアップ
まだ離婚の日が決まっていないなら、先延ばしすると「3号分割制度」で年金の受取予定額がアップします。そのため、定年に近づくまで我慢するという手があります。年齢が高くなると給与も高くなり、厚生年金の支払金額も高額です。
夫の親(嫌な姑)の面倒を見る介護がイヤだという「介護離婚」の場合にも、まだまだ介護する時期ではないなら待てるはずです。その他に離婚の原因として・・
楽しい事や物の考え方(価値観)が違う
近くにいるだけで(嫌な言葉を聞かされ)ストレス
会話がなくてつらい
これらが理由なら、退職して旦那がいつも家にいる時期まではストレスは少ないと考え、「理想の老後資金を確保するために、いけるところまで我慢する」という選択があります。
すでにバツイチとなった女性の老後資金
すでにバツイチの状態になっているなら、まずは「3号分割制度」で半分の年金予定額をゲットする手続きをすることです。期限は2年以内です。すでに2年が経過しているなら・・
そうなると、自分で生活のお金を得る方法を探すことになります。
問題は専業主婦をしている期間が長すぎると、就職先がなかなか見つからないことです。
高齢である
女性である
ブランクが長すぎる
これだけマイナス要素が多いと、希望の職種に就ける可能性が少なくなってしまいます。
60代で老後資金を2,000万円確保したい
ファイナンシャルプランナーの概算でば、60代までに2,000万円を貯めていないと老後資金は厳しいということが言われています。これは、60代以降にパート収入がない場合を想定した老後資金です。
女性は統計的に見ると男性よりも長生き(女性はおよそ87歳、男性は81歳)するため、老後資金をより多く確保する必要があります。そして、バツイチなら、食事のコストも問題になります。
一人暮らしではなく同居する生活を
バツイチ一人暮らしになると食事を作るのが面倒になって、安いインスタント食品ばかりになりがちです。
安い食材でお腹を満たすことは簡単ですが、生活費を浮かせることばかり優先して適当な食事ばかりしていると・・
こんな流れになっていくかもしれません。
最も良いのは誰かと同居する選択肢を探すことです。食事は1人分よりも 2人分以上をまとめて作った方が安くつきます。生活コストの節約・医療費軽減のためにも息子や娘夫婦などと同居する方向がベストです。
友人との交流を大事にすること
再婚の可能性が低くなってしまう40代以降でバツイチになると、老後資金の確保に苦労します。そんな時に重要になるのは・・
友人、知人から働ける場所を紹介してもらったり、住む場所でお世話になる事もあるかもしれません。
高齢になるとバツイチになったことを後悔する人も
女性側の不満から離婚の提案をしたときは、意見が合わず協議離婚などになる事が多くあります。
いくつもの段取り・長い時間を経て希望していた離婚が成立してやっと気分を落ちつかせることができますが、何年も経過して高齢になってくると・・
こんな回答する方が多い事が分かっています。
嫌いなところが目立っていた嫌な旦那であっても、長年離れていると良いところに気づかされることもあるようです。
熟年離婚は両方貧乏になる
厚生年金の取り分の「2分の1」を確保しながら熟年離婚の手続きをできれば、お互いに自由気ままな老後となりそうです。ですが、実際のところは・・
これが待っています。
住居が2つに分かれるので家賃が2倍、電気・ガス・水道の基本料金が2倍に、食料品・その他では「まとめて消費するとコスパが良い」ものが沢山あります。お互いに車の運転をする方なら車も2台必要になります。
仕事をして給料をもらうときにも、配偶者控除が無くなるので所得税を多く支払うことになります。
将来のお金の不安から 若いうちに節約してお金を蓄える「タンス預金」をする方が多くなっています。夫婦でもお金のやりくりが厳しい時代なのに、離婚をしてしまうといっそう手元にお金が残らない生活になります。
卒婚という考え方で老後資金をキープする方法
バツイチを決断した時には「この人とは一緒にいられない」と思ったかもしれませんが、少し落ちついて離婚を回避する方向のライフプランを考えることで老後の貧乏を回避できます。
それが、結婚の状態を維持したまま「卒婚する」という考え方です。卒婚とは・・
このように生きるスタイル考え方です。居室・寝室を別にしながら一つの家に住む方法であったり、片方は実家・または友人を頼って田舎に移り住み、好きな事をして暮らします。
貧乏で食べていけないほど苦しくなったら、もともと住んでいた夫婦の家に戻って相手に干渉しないように生活することが可能です。二人分の年金収入で出費をやりくりできるので、どうにか生活できるようになります。
高齢の無職世帯の毎月の不足分はいくら?
ではここで、実際に定年退職して無職の状態で生活できるのか?についてです。三菱UFJ信託銀行が示す「離婚していない高齢無職世帯(夫婦)」の資産は・・
総務省の家計調査報告によると、高齢無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の公的年金などの社会保障給付は、1カ月におよそ19万円です。
同じく家計調査によると月々の支出はおよそ27万円であるため、不足分は月々8万円程度となります。
離婚せずに夫婦で暮らしていても、毎月8万円の赤字になると予想できます。
公的年金の2人分があっても貯金はどんどん減り続けます。ここをどうするか想定しておく必要があります。
まとめ:バツイチ 女 老後 熟年離婚 一人暮らし 生活費
過去に「熟年離婚」というドラマが放送されて高視聴率を記録しました。そのドラマの影響により、離婚を選んで老後資金をやりくりするライフプランを選ぶ方が格段に増えました。
年金の受給金額だけでは生活費が厳しいことが予想されるので、働けるうちに預貯金を増やす必要があります。また、まだバツイチを検討している段階であるなら、卒婚も検討してみるべきです。